業務委託美容室の基本知識とメリットデメリットを簡単解説!
- ※この記事は、「業務委託の美容室」に転職を考えてる美容師さん向けです。
近年求人も一般的になり社員か業務委託か働くスタイルを選べるお店が増えているので目にする機会も多いのではないでしょうか。
業務委託の美容師=個人時事業主(自営業)=フリーランス
と、いろんな呼ばれ方がありますが、実際普通の美容室と何が違うの?という疑問にお答えできればと思います。
求人広告を見ると、
『自由出勤で充実したプライベート時間!』
『平均収入30万以上!やる気次第では50万稼げる方も★』
『ノルマや店販目標も一切なし。あなたのペースで働けます♪♪』
などなど、ホントかいな!?!?
と普通のサロンで働いていた方なら目を疑いたくなるようなキャッチフレーズで溢れていて、
(一体どんな落とし穴が?!( º_º ))
と怖くなってしまいそうです。
そんな方のために、実際私が5年間業務委託の美容室で働いてみて感じたこと、
◆通常サロンとの違い
◆メリット、デメリット
◆向いている人
◆やめておいた方がいい人
を中心に簡単簡潔にご紹介していきたいと思います(^^)
色々な店舗を渡り歩いたわけではないのでこれが全てではありません。あくまでも一例ということで参考にしてくださいね🎀
Contents
通常サロンとの違い
契約と給料体制
これが一番大きな違いといえるでしょう。
通常サロンが
『固定給+歩合』
が多いのに対して、
業務委託は
『完全歩合』
となります。
だいたいの目安としてフリー客で売上の40%、指名客で50%のバック率がその日の報酬となって日払いで支給されます。
この利率より高ければかなり高待遇といえるでしょう。
これは入店時の交渉で実力や経験が考慮されて決まるので同じ店でもスタッフによって待遇に差があることも。
出勤日数なのか、指名数なのか、条件はまちまちです。
入店してから利率を上げる交渉をするのはなかなか難しいので、最初がかなり肝心です!
売上からその日払いなのでもし入客がゼロだった場合報酬もゼロということになります。
そのために保証時給をつけているお店もありますが、3ヶ月限定など落とし穴の可能性もあるので要確認です。
そしてまとめて支給されず日払いで毎日もらうので金銭管理能力も問われます。その日暮らしの生活にならないような鉄の意思が必要。(次項で触れますが税金などの支払いも個人管理になるので)
社会保険がない
『社会保険完備』という求人に示されるこちらは何がパックされているかというと…
〇雇用保険
…辞めた時に失業保険が給付される
〇厚生年金
…年金を会社が半分負担して支払ってくれる(国民年金より格段に受給額が上がる)
〇健康保険
…保険証交付、医療費が安くなる
〇労災保険
…労働中の怪我などをした際医療費を負担してくれる
この4つです!
これ、アルバイトパートの人だってついてます。(勤務時間が短いと健康保険と厚生年金は別途ですね)
それくらい当たり前の存在なので、働いていてこれらがついてないことってあまり経験する方がいないと思うんですよね。
なのでこれらを『ありがたい』と実感できるようになったのは非保証でやってきた賜物…存分に伝えたいです!
キャバクラなど水商売系は所得税と厚生費が引かれるくらいで基本的にないところが多いので社会的に非保証という点では近い存在かもしれません。(しっかりしているお店もあるとは思います)
個人事業主にはこれらが一切ありません。
となるとどうなるのか??
〇雇用保険→辞めたらその日から無収入
〇厚生年金→国民年金に加入。だいたい1ヶ月1万5000円くらい。将来の受給額はかなり少ない。
〇健康保険→国民健康保険に加入。これも1万5000円くらい。
〇労災保険→怪我して休んだらその分給料がもらえないだけ。
体壊したら、即アウト!!
という切迫した状況がご理解いただけたでしょうか。普通どの美容師も簡単に休めないのは同じですが、休んだ分だけごっそり給料がなくなるとなると、這ってでも出勤したくなるかもしれません…。
それとだいたいこの保険と年金の3万円は毎月支払わなければいけないので求人の収入額からは常にマイナス3万円で計算しておくとよいでしょう。(これは通常のサロンにも言えます)
自己管理だとどんどん未納が続いて、さらには住民税先輩などからも雪崩のように請求がきてパンクしてしまいそうになる美容師がたくさんいます!30過ぎて慌てるパターンです…要注意❗️
マンツーマン接客
個人事業主なので基本的にひとりのお客様を最初から最後までひとりで担当します。(もちろんシャンプー含む)
アシスタントがいない場合基本的にかけ持たないことが多いとは思いますが、席が足りればひとりで同時に進めるという方もいたりと特に決まりはなくメニューの時間設定などもその方のスタイル次第です。
基本的にはお店の全員がスタイリストということが多いです。なので夜の練習会もないので営業時間が長く、勤務時間の形態も様々。
例)9時-22時のなかで9-18時が早番、13-22時が遅番など。フルタイムで働く方も。
中には全く休まない方もいます、これは通常のサロンだとできないことですね。
店の単価設定が安い
価格帯を見ればだいたい『あ、ここ委託だな~』とわかります。大型チェーン店(EA〇TH、AS〇など)も新規のカットやカットカラーは安く設定されていますが、全体のメニューを見れば6.7000円前後が平均単価になるように組まれているはずです。他にはスタイリストのランク料金がある、アシスタントがいないなどで見分けることが可能です。
なので度々お客様から「粗悪な薬液を使っているのではないか?」と問い合わせがくることがありますが…会社ではなく独立した存在として営業してるから可能な価格設定といえます。余分を完全に排除した価格なのです。
例ですが
カット ¥2000~4000
リタッチカラー ¥2500~3500
カットカラー ¥2500~4000
デジタルパーマ ¥5500~7000
縮毛矯正 ¥5500~7000
など、通常のサロンでは信じられない価格帯となっています。それでいて経験豊富なスタイリストが多いのでお客様からしたらかなりお得ですよね。
これを見るとかなりの数こなさないと稼げないんだな…ということは予想できると思います。
メリット•デメリット
上記の通常サロンとの違いをふまえてメリットデメリットについて考えてみます。
メリット
◆稼げる可能性に際限がない
◆土日を含めて自由に休みがとれる、
好きな時に帰れる
◆空き時間を自由に使える
◆個人プレイのため人間関係が最低限である
◆比較的辞めやすい
デメリット
◆全然稼げないかもしれない
◆お客様の予約キャンセル、変更、遅刻が大打撃である
◆社会保険がないので体を壊したらその日から収入がなくなる
◆社会的信用が低い
◆確定申告を計画的にやっておかないと、車や家などを購入したいときにローンが組めないなどの不都合がでてくる。下手するとクレジットカードの審査が通らないことも。
◆暇な時間不安に襲われる
◆お客様を取り合いになる可能性もあり
◆勉強会がないため自発的に休みを割いて講習にいかないと技術が向上しない
◆人間関係が簡素になりがち
向いている人
以上の点を踏まえて業務委託の美容室でフリーの美容師として働くのに向いているケースを考えてみます。
〇独立するため(または海外に行くため)の一時的な資金稼ぎ
これが第1位です。男性なんかは体力のある限り休みも極限まで減らしてフルタイム、かけもちでガツガツこなして結構な額を稼ぐ人もいます。
〇高単価の固定客を一定数持っており次の店にも来てくれそうな場合
基本的に単価が安いので、通常サロンでつけたお客様をその価格帯のまま業務委託店に引っ張れると、バック率も55%~60%もらえることもあるので稼げます。
〇スピードに自信がある方
こなした分だけ収入になるのでサクサクこなせるのにこしたことはありません。カット30分、縮毛矯正2時間であげる方も。
〇ヘアメイクや外部の仕事とサロンワークを両立させたい方
副業としてWワークでやりたい場合には都合がいいでしょう。これぞフリーランスといった働き方。
など、これ一本でずっとやっていく!というよりは、つなぎとして一時的に身を寄せるイメージになりますね。
向いていない人
〇自己管理能力が低い人
時間、金銭面において重要です。
なかなか自覚するのは難しいかもしれませんが…。
〇まだ実力が備わっていない人
デビューして間もないスタイリストはまだまだ指導が必要です。結果が出せるまで時間がかかるとその間稼げないので非効率です。キャラクターで押し切って一時的に指名数をとれる方もいますがどこかでしわ寄せがきます。
メインワーカーも30代が多いです。
〇明確な目標がない人
これが一番危険です。やりたい方向が見つかるまで…と思って簡単に足を踏み入れるとなかなか抜け出せなくなります。
〇安定を求める人
一番縁のない言葉になります…。
委託に対する認識
社員、派遣、パート、委託
と色々な働き方が増えてきていますが未だ給与、待遇面で悩まされる美容師業界全体…
自分に合った働き方を見つけたいですよね
収入、保証、時間、設備、立地、人間関係、何を重要視したいのか?
自分自身通常のサロンで5年、委託で5年働いていてみて感じたメリットデメリットを委託に焦点をあてて紹介してきました。
一見実力があれば稼げる業務委託ですが、一定以上指名数売上がある場合は通常のサロンでアシスタントをつけて回転させた方が生産性が高いので、早々に出店してしまうのが一番効率的なようです。
色々な意見があるかと思いますが一例としてご理解ください。
長い美容師人生の中でも体力面を考えるとずっと第一線のプレイヤーではいられないのが現実。。そうなったときに委託に長居しすぎてしまうとどこに次の一歩を踏み出したらいいかわからなくなってしまうでしょう。
ずっと日払いでやってくわけにはいかないですよね😢
そして個人事業主のため自己完結型で孤立しやすくなってしまうという側面もあります。
そういった意味でも会社組織で社会と繋がっていることの重要性も大切です。
自店を出店して人員を雇い経営にまわる、はたまた自分のペースで営業する、会社組織から講師活動や営業などにシフトする、女性はパートとして時給で働くなどその後の道は様々です。
業務委託の美容室への転職を悩まれている方の参考になれば幸いです☺️
この記事は2017年11月に作成しています。
serori
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